Top > 「美殿町」探訪 - インタビュー 
 

 今からだいたい9年前にそれぞれ修行先にいたお店の息子さん達若手が戻ってこられて、仕事始められたんですけど、美殿町は古い老舗のお店がほとんど。今までは、例えばお布団なら鈴木屋さんとか、家具なら安田屋さんとか、そういうふうにお客様が馴染みのお店って持っておられたんですけど、今の若い世代の方は特に馴染みのお店ってほとんど持たなくて、例えばチラシとか情報で、そのお店いろんなところに行ったりするんで、今のそれぞれのお店が持ってる常連のお客様が高齢で、亡くなってくんですね。そうすると、その人の息子さんとかお嬢さんとか子供の世代は、その後を継いで布団なら鈴木屋さんとか、家具なら安田屋さんに来るかというと、そうでなく…。だけど、今それぞれのお店が常連のお客さんを(以前より減ったが)持っているんで、何とか商売が回ってるんですけど、その方々がどんどん年数経つにつれて少しずつ減っていくと。柳ヶ瀬はどんどん逆に知名度がなくなってきて、ほとんど柳ヶ瀬にお客さんが来なくなってきたので、我々も新しいお客様を増やしていくというのは非常に難しくなってきたということになって、それで9年前に、じゃあなんとか美殿町にお客様を呼び込むことをしなきゃいけないね、ということで、若手の3名か4名が活動し始めたのがきっかけなんですよね。

 我々は、小さいときからここに住んでたんで、美殿町という名前は、多分この周りの方々は知ってると思ったんですよ。だから、美殿町って言えば、「あーあそこね」っていうふうに、だいたい岐阜市内の方は知ってると思ってたんですけど、アンケートをとったら、基本的に誰も知らないってことがわかって、岐阜駅の観光案内所でも、「美殿町ってどうやって行くんですか?」って聞いたら、「えっ美殿町ってどこですか?」みたいな形で、タクシーの運転手もわからないみたいなところで、「あっ美殿町って名前が全くわからない、知らないんだ!」っていうことに気付かされて、商店街の名前を知らなきゃ絶対人はそこに来ないんで、これは何とか知名度を上げてかなきゃいけないなということで、9年前にまず何をしようかということで、美殿町マップというイラストマップを作り始めたんですよね。

 多分知ってると思いますけど、マップを一応最初にまず作り始めたんですけど、多分その前の段階までは、こういうマップなんていうのはいろんなとこが作ってるんで、それは新しいものではないんですけれども、結局我々もそうでしたけれども。こういうものを作ったときの目的っていうのが、いいものを作ったっていうことで、「こんないいものができたよねー、よかったよねー」だけで終わって、その次の戦略ってのがなかったんですよ。そのときに僕らが活動したときは、1つはこれは作ることが目的じゃなくって、知名度を高めていくってことが目的なんで、作ったものをどうやって配布していくかっていうところで、その町のお店のところにイーゼルを置いて、マップが取り易いところを作ったり、長良川のホテルやなんかに配ったり、イベントの度に配ったりとかして、知名度を高める1つの紙の媒体のツールとして作ったということなんですけど、一般的にはそうじゃなくて作ったことが目的で、作り終わった後は、お店でほこりたまってるって状態がほとんどなんですけど、そういうところで戦略を変えて、知名度を高めていくということの1つのツールとしてまずこれを作りました。

 次にじゃあ何かイベント、話題性のあることをしないと、誰も知らない町には来ないので、春祭りと秋祭りっていう、道三、信長のときに、1つのイベントを始めたんですね。それが9年前。夏祭りは二十何年やってるんですけど、新しく春、それから4年位前から10月のハロウィンっていうのを始めて、とにかく美殿町っていうのは、常に「何か面白いことやってる」っていうことを話題にさせて、その注目を浴びて、人が寄るような形に活動しようということで。

 美殿町の春と秋祭りも、ネットの、当時はミクシーで何か面白い方法何かないかなーと思ったら、古い着物、アンティーク着物っていうイベントをやりたいっていう女の子達がいて、岐阜は繊維の町と言いながらそういうイベントが全くないねっていうことで、柳ヶ瀬とかその辺でやりたいねっていうのがあったんで、すぐそこに、「じゃあ美殿町でやってくださいよ」みたいな形でやったのがきっかけで、その時初めてやったときに、で500円とか1000円の商品が2日間で100万売れたんですよ。まず普通のイベントのときは、10時11時から初めると、パラパラと来るんですけど、その時一番最初に着物マーケットっていうのをやったときには、朝の8時くらい、7時くらいから、何か着物着た人が若い女の子達がいるんですよ。ぞろぞろ来られて、帰りはもう大きな袋を持って帰っていく。着物は日本の伝統文化だし、美殿町をみると、和菓子とか陶器とか茶器とか、そういう和的なお店もまあまああるんで、これはつながっていくなーというところで、それから着物マーケットっていうことで、全国の女の子達が注目するカリスマのショップの方に来てもらって、今はもう東京大阪とか、福井とか、そういう名古屋からでもそういうイベントのときは人が来るようになりましたね。

 もう1つは、知名度を高めていく上では、やっぱりマスコミ、テレビとかラジオとか新聞とかいうところが取り上げてくれると、美殿町って何となくわかってもらえるということがあるので、ただそのお金を出してっていうと、莫大なお金がかかってくるので、それをどうやってタダでやるかっていうことを考えるには、やっぱり特にテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・マスコミは、何か他と違った面白い話題とか、旬の話題でないと取り上げてくれないんで、常にイベントとか何かやるときには、すぐ全部のマスコミに郵送で、プレスリリースを全部出して、そのときに必ずマップを入れて出して、一年目のときに名古屋キイ局のニュースとかでこの辺のマップの話題とか2つか3つ取り上げられたり、NHKで取り上げられたり、一番大きなのがCBCの坂東リサーチという、その坂東英二の地元紹介というやつに出て、漬物屋さんとかがある程度長く紹介されたんですけど、放映された翌日には、朝9時から車が尾張ナンバーとか名古屋ナンバーの車が停まってたりとかっていう、そういう効果がありましたし、そういうマスコミを発信することによって、いろいろ新聞ラジオ、そういういろんなところから取り上げられたり、全国紙に紹介されたりっていうことになってきておりますよね。

 今は春夏秋のイベントの時には開場の案内放送というか、サテライトスタジオみたいなブースを作って、それで岐阜大学を中心とした学生放送研究会の人にもう好きなようにしゃべってっていうことで、まあラジオDJふうにそのお店紹介であったり、番組みたいなことを、イベントのときに必ずやってもらうようにしてますね。とにかく話題のあることをどう見つけてどうやるかっていうことを常に思ってますし、これからこの先はやっぱり一つの町で頑張っててもなかなか難しいので、今日行かれた伊奈波さんの岐阜町であるとか、あと川原町であるとかいうところとある程度連携をしてマップの置き合いをしたりとか、ようは川原町に来た人が、ずーっと伊奈波歩いて美殿に来てっていう。(流れで)で岐阜駅から帰っていくというようなふうにすれば半日以上は遊べるっていう環境になるんで、名古屋の人が言うには、わざわざ岐阜に来るには、半日以上遊べるところがないと来ないって言いますし、岐阜の人は、みんな名古屋に行くよって言うんですけど、こっちに名古屋にない面白いものがあれば、逆に名古屋から岐阜は20分なんで、向こうからこっちへ来るんじゃないかと思います。

 名古屋から人は来るけど、ただ名古屋と同じことやってても、それは名古屋のほうが上なんで今の岐阜駅前の43とかスカイウィングとか高層ビルを建ててももう名古屋には絶対勝てないから、だけどそうじゃなくてもっと違う着物マーケットであるとか、何かそういう特異性なもの、伊奈波界隈の古い町並みであるとか…。そういうところをもっとクローズアップすれば、向こうから人が来るんで。美殿町にそういうものが少なければ、じゃあ伊奈波さんと連携したり。とか、イベントのときも同じ日になんか違うことをやって、むこうに人を流すとか、みんながくるとかという連携をすれば、おもしろいのかなと思ってはいますね。その辺の活動で今9年目に今年突入することになったんですけどね。