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 伊奈波に通じる道路は綺麗に舗装されていて、歩道を車道の両側ではなく、片側のみに設置しています。そのかわり、歩道が非常に広く作られており、街を見ながら歩くことができます。また、この道路は一方通行になっているので、歩行者も車も安全に利用することができるようになっています。
       
 一部地域では、地区計画として建物の高さを20m以下に制限する取組みが行われています。街を歩いてみると、高い建物が少ないため、町全体が窮屈に感じられることがなく、ゆったりとした空間になっていました。また、建設中の建物も、この空間を守るため、この規定をしっかりと守ろうとする姿が見られました。
       
 伊奈波では、建物や看板の色彩についてのルールも定められています。街には、古い建物から新しい 建物まで、さまざまなものがありましたが、全体的に建物や看板の色で、飛び抜けて目立つものがありませんでした。どの建物も茶色を主とした木の色を使用しており、とても落ち着いた雰囲気になっていました。
       
 町には、まだできてからあまり時間の経っていない、新しいマンションが建っています。このようなマンションも、外観の色は景色に溶け込むような落ち着いた色になっており、高さも20m以下に抑えられていました。新しく建てられる建物でも、きちんと決まりを守っており、地域の団結力を感じました。
       
 メインストリートである伊奈波通りは、春になるとたくさんの桜が咲き誇り、綺麗な桜並木道となります。植えられているのはシダレザクラで、満開になると枝が地面に向けて降りるため、桜のトンネルのようになります。4月最初の土曜日に行われる「岐阜まつり」の時期には満開になるそうです。普段は静かですが、イベント時には歩行者天国となり、大勢の人で賑わっています。
       
 伊奈波神社は、1900年以上の歴史を誇る、岐阜市を代表する神社です。古くからそのままの姿で 残っている伊奈波神社は、全国のパワースポットの一つとしても紹介されています。新年の初詣の時 には、岐阜県内で最も多く人が集まり、もちつき大会も開かれていたりと、大変盛り上がっています 。また、普段は一番奥にある拝殿に入ることができませんが、初詣などの特別なときに入ることがで きるので、ぜひ訪れた際にはご覧になってみてください。
       
 伊奈波のまちづくりの目的は、「地域の人がすみやすいようなまちづくり」です。そのため、「商売でお客さんをたくさん集める」といった街おこしは行われていませんでした。実際に話を聞いてみると、「街は活性化させたいというより、地域の人のための、地域の人が中心のまちづくりをしたい」とのことで、伊奈波のまちづくりは、街を愛しているからこそ成り立っているものなのだなと思いました。
       
 平日やイベントなどがない日は、朝昼晩ともにほとんど人がいませんでした。土日になると、伊奈波神社へ参拝をしに来るお客さんがいて、平日に比べて人がいるように感じましたが、比較的静かな雰囲気でした。お正月は、伊奈波通りが歩行者天国になっていて、たくさんの人で溢れていました。元日から2週間が経っても、週末には初詣のお客さんでとても賑わっていました。
       
 伊奈波は基本的に静かな雰囲気ですが、イベントの日にはとても賑わい、雰囲気の差が大きい街だと思いました。街おこしという観点ではうまくいっていないように見えますが、伊奈波はあくまでも「まちづくり」を行っています。なので、商業的な成果はなくても、伊奈波は「すみやすい街」を達成しているため、「まちづくり」としては成功しているのではないかと思いました。