Top > 「川原町」探訪 - フィールドワーク 
 
   
       
 川原町の建物は、まちづくり協定によって様々な約束事があります。中でも一番の特徴は、建物の高さです。道路との境目から建物までの距離が5m以下のものは、2階建てまでしか作れません。それ以外でも建物の高さは上限が15mとなっているため、周辺の景色が見えやすく、夕暮れ時も綺麗に日がさすため、様々な町の顔を見ることができます。
       
 どの建物を見ても、通りに面する壁に木製の格子を設置しています。ただ単に雰囲気づくりをするためだけではなく、ガラス窓を隠すためにも用いられています。古くから設置されていてとても味の出ている格子から、老朽化のため、新しく設置し直した格子まで、さまざまなものが見られました。
       
 川原町にたたずんでいる家には、昔ながらの丸い門灯が設置されています。基本的な形はどこの家も同じで、「みんなで街づくりをしている」という一体感が表れていました。
       
  美しい町並みを保つために、現代的なものを、様々な手段を使ってカモフラージュしています。例えばエアコンの室外機は、室外機全体を木格子で覆い隠すようにしています。実際に歩いていると、この木格子のおかげで、室外機の存在がほとんど気にならなかったので、この効果はかなり高いと思いました。
       
 川原町に設置されている自動販売機は、外見を木目調にするなどして、できる限り街に溶け込むようにしています。他に、街中の看板も木を使って作られているので、家とマッチし、雰囲気を壊さないようになっていました。
       
 川原町は、基本的に行政から「こうしよう」という風に言われてやるのではなく、自分たちで「こうしよう!」という想いをもって活動しています。だからこそ、本当に良い町になるようなことを考えて取り組むことができており、観光による利益を望んだりはしていません。そのせいか、「全世帯におそろいの提灯を」、「お正月には門松を置こう」など、小さくても愛のある活動が実施しやすく、本物の「町の姿」を見ることができました。
       
 連休や長期休暇の時期になると、ホテル十八楼に宿泊に来る人など、多くの観光客がいるため、一日中街が賑わっていました。玉井屋には常にたくさんのお客さんがいるように思えました。さらに鵜飼シーズンになると、常に沢山の人で賑わっていました。鵜飼のオフシーズンになるとあまり人通りはなく、オンシーズンに比べて静かな通りになります。
       
 建物、道路、電線の処理、いたるところに工夫が見られ、誰か一部が頑張るのではなく、町全体で取り組んでいる様子がうかがえました。しかし、しっかり整備されているのはメインとなる大通りだけで、その裏へ行くと、同じ町の中でも「まだ整備が不十分だなあ」と思う所もありました。このまちづくりは、まだ終わっていませんし、しっかりと整備後も手入れを続けているので、町への愛がなくならない限り、川原町の昔の姿は生き続けるのではないかと思いました。町の人たちの、「この町を保存したい!」という気持ちで成り立っているこのまちづくり・町おこしは、成功するまちづくり・町おこしのモデルケースと言えるのではないでしょうか。