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 河口堰の主な役割は、塩水の遡上(※1)や洪水等の防止です。
 河口堰がまだ出来ていなく、浚渫(※2)される前は河口から約14km〜18km離れたところにまで塩水が遡上していました。ちょうど約14km〜18km付近には“マウンド”と呼ばれる川底が高い場所があったので、そこで遡上をくい止めていたような状態でした。
 当時、治水を完璧に行うため長良川を浚渫するという計画が立てられていました。浚渫が選ばれた理由としては、浚渫が一番効率の良い方法だったからです。堤防を高くすると川の水の流れる高さが上がってしまうので危険性があがり、川幅を広くしようとしても長良川流域には沢山の人が住んでいるので、事実上難しいことでした。(沢山の人が家を失ってしまうため)それに、この2つの方法は橋や近くの道路も建設し直さなければなかったのです。
 計画通りに浚渫すると更に河口よりも約30km離れたところにまで塩水が遡上してしまうことが分かりました。これでは、多くの土地に塩害が起きてしまいます。ようするに、河口堰によって塩水を止めてから浚渫作業を行う必要があったのです。
 このような悪影響を防ぐため河口堰でゲートを閉じ塩水を止め、逆に大雨が降って洪水になったときはゲートを開けて水を流し、堤防の決壊を防止します。

※1 遡上(そじょう)
 遡上とは、普段の流れとは逆に流れること。
※2 浚渫(しゅんせつ)
 水底の土砂や岩石をさらうこと。






 


●治水効果

 平成7年7月に河口堰のゲートの開閉操作が始まり、平成9年に長良川の浚渫が行われたことによって長良川の下流部では洪水の流下能力が上がりました。
警戒水位を大きく上回っても河口堰が出来る前と比べたら水位は1m〜2m位低くなり、堤防が決壊する危険性も低下しました。



●利水効果

 河口堰の運用前は、地盤沈下により塩水の浸入が進み、塩水が淡水と混じったため取水が難しくなっていました。
 長良川河口堰が完成したことにより、河口堰周辺の水は淡水化され新たに水道用水、工業用水など全て合わせて最大毎秒22.5m3が利用可能となりました。
  • 長良導水(水利権量 毎秒2.86m3)
  • 中勢水道(水利権量 毎秒0.826m3)
  • 北伊勢工業用水(水利権量 毎秒2.951m3)
  • 福原用水(水利権量 毎秒0.256m3)
  • 桑名市長島町水道・かんがい用水・水路維持用水(水利権量 毎秒1.22m3)
  • 長良川用水(水利権量 毎秒8.78m3)

 又、渇水時は長良川河口堰より送水が行われるため断水するような事態には陥りません。