河口堰の主な役割は、塩水の遡上(※1)や洪水等の防止です。
河口堰がまだ出来ていなく、浚渫(※2)される前は河口から約14km〜18km離れたところにまで塩水が遡上していました。ちょうど約14km〜18km付近には“マウンド”と呼ばれる川底が高い場所があったので、そこで遡上をくい止めていたような状態でした。
当時、治水を完璧に行うため長良川を浚渫するという計画が立てられていました。浚渫が選ばれた理由としては、浚渫が一番効率の良い方法だったからです。堤防を高くすると川の水の流れる高さが上がってしまうので危険性があがり、川幅を広くしようとしても長良川流域には沢山の人が住んでいるので、事実上難しいことでした。(沢山の人が家を失ってしまうため)それに、この2つの方法は橋や近くの道路も建設し直さなければなかったのです。
計画通りに浚渫すると更に河口よりも約30km離れたところにまで塩水が遡上してしまうことが分かりました。これでは、多くの土地に塩害が起きてしまいます。ようするに、河口堰によって塩水を止めてから浚渫作業を行う必要があったのです。
このような悪影響を防ぐため河口堰でゲートを閉じ塩水を止め、逆に大雨が降って洪水になったときはゲートを開けて水を流し、堤防の決壊を防止します。
※1 遡上(そじょう)
遡上とは、普段の流れとは逆に流れること。
※2 浚渫(しゅんせつ)
水底の土砂や岩石をさらうこと。 |